夫婦の心理的安定とは

現在、日本では晩婚化非婚化が進行しています。その背景にあるのは、以前のように結婚が生存上必須だった状況が男女双方にとって縮小した背景。外食産業の発達や家事の家電化による肉体の必要性を小さくしたことからでした。そして女性が働き、自分の稼ぎを得て生きることを可能にしました。ここに性の自由化が加わり、昔の結婚に期待されていた経済、家事、性などの道具的価値を大きく低下させました。今の未婚の男女が結婚しない理由に挙げる「必要性を感じない」とはこの辺りからくる事情だと理解します。

そして、大きく道具的価値↑に代わって結婚をする意識の中にあるのが、心理的価値(心理的安定)だと考えます。

便利化が進む時代の中で、見合い結婚(道具的価値)から恋愛結婚(心理的価値)へ移行、今やほとんどが恋愛結婚、見合いや紹介で始まっても交際後「恋愛的」関係になることで結婚となっています。このことは男女の関係に大きな影響をもたらしています。

1つは、対人関係スキル、コミュニケーション能力が重要になること、昔のように見合い結婚で重視されてきた学歴・職業・収入というこの条件だけではなく、交際そのものが結婚を決める高いハードルとなってきています。口下手、引っ込み思案、シャイでは気持ちの相互理解や愛情の確認が薄く、本人の対人関係能力、特にコミュニケーション・スキルが重要な課題です。

もう1つは、男性と女性の関係性。お見合い結婚では年齢、学歴、家柄などいずれも男性上位が定番、それが釣り合いの取れた夫婦とされていた時代から、恋愛結婚となる現代は二人の年齢差、学歴など縮小、むしろ妻となる人が年上、高学歴の場合も今や珍しくなく「恋愛」という学校や職場などで知り合い対等な友人関係からのスタート、お互いに対等な関係が作れていることです。

これが結婚後も保持されるかどうか、で二人のこの先の心理的安定が見られます。結論的に言えば、男性は心理的安定を得られていて、女性は得られていないのが日本の夫婦です。配偶者の存在意識として、配偶者の死の影響の違い、夫は妻の死が大きな衝撃となり、夫の寿命は短くなる傾向ですが妻は夫の死の影響はそれほど感じていないのです。

このような要因は2つ。1つは夫婦間コミュニケ―ションです。相手に話す(自己開示)聞いてもらえる(受容)は、親密圏の条件であって心理的安定の基盤でもあります。日本の夫婦は、家族は「黙っていてもわかる」「以心伝心」なんて言葉や親世代のやり取りを見て育ち、これでいいのだと思い込まされていたリする所がありますが、黙っていては分かり合えず、誤解や読み違い多々となり意思疎通が悪く、相手を非難したり諦めたりした結果、自分の思いを伝えることもなく離婚という結論に至ります。

もう1つは、日本の夫婦間の会話が少ない要因として、夫上位/妻下位の会話や無視・回避をしばしば体験することで、会話をあきらめてしまうという結果です。妻に自己開示する夫は、他方で「無視/回避」が多く、妻の言には耳を傾けない傾向があります。自分の言いたいことは言うけれど、聞きたくないことは無視する、まさに「男は話を聞かない傾向」がでます。この夫の態度が、妻には対等で親密な関係を期待できなくさせ、結婚満足度を低めている要因となっています。子供がいればその子が大きくなるまでと我慢をし50代以上の離婚の原因となっている部分です。

夫婦間コミュニケーションは単なる通信手段ではありません。二人の間の愛情と配慮の交換です。お互いが心理的安定を築き長く続く愛を育てるためにも必要不可欠、そしてそれが二人の間に生まれた子供にまで影響を与え、その子の人生の幸せまでにもかかわってくるという事を理解しましょう。