抑圧の連鎖

通常、親が我が子に暴力をふるうのは悪意からではなく、むしろ「親心」「善意」「しつけ」の一環としての場合がほとんどです。中には、自分自身の自暴自棄な生き方に子供を巻き込むようにして虐待的に暴力をふるい続ける親もいます。そこには「親だから」という気持ちがあり、だからこそ、罪意識も乏しく、自制心も働きにくいし、まして当然と思いがちです。

またそこには「抑圧の連鎖」というものが顔をのぞかせ、親またその親から同じような「しつけ」を受けてきた体験を下敷きに、自分のしつけ方法に疑問を持たないこともないまま、同じ行為を我が子へと繰り返すという現実があります。この世代を超えた「抑圧の連鎖」が、自他に対する理由のない暴力を生む原因になっているという事に、私たちはもっと自覚的になる必要があります。

様々な子供たちが起こした事件や親子事件などは、安易に子供たちを責めるより前に、この「抑圧の連鎖」によって子どもたちの自分と他人との意識の違いがいかに損傷しているかという事を考えなくてはいけないでしょう。そこにはあるがままの自己を表現してそれらを身近な他者(特に親)から無条件で肯定されるという体験の積み重ねが必要です。自分への自尊感情が形成されていてこそ、他者への基本的な信頼感、親愛感が育つという事を親となった人は理解する必要があります。そこには、人間の形成、人格の形成において一番大切な脳・脳機能の仕組みが関わっているからだと大人が知識を持つ必要があります。

「抑圧の連鎖」は宗教などではよく「負の連鎖」などという言い方をします。子供はみんな生まれてきたときは、脳は真っ白な綺麗な状態です。(身長や顔の構造など、遺伝として受け継がれていくものは別として)それを黒に染めるもの青く輝かせるのも養育者、親次第です。子育ては、莫大な時間と労力がかかります。育てるとは、責任があります。放置もできません。

できて当たり前だと思える子育ては偽善です。皆さんは最初から教えてもらわずに「きちんと間違わずにできた」こと、ありますか?何事も何度も何度も失敗を繰り返し、やっとできるようになったのではないですか?

子育ては失敗からは取り返しがつかなくなることもたくさんあります。脳に記憶されたものは消えない(忘れることはあっても消えない)、自分が受けてきたものが深くしみついているからこそ、今の時代、自分の知識で子供を育てることは危険だといえるでしょう。

幸せな家族、またその子供が家族を持って幸せに生活をする基本は親の育て方次第です。